質の高い授業を提供するために
英語の教材や勉強方法がありふれる昨今において、英会話講師に必要なのは「どれが良くて、どれが良くないのか」を見分ける見識や着眼点、専門知識であると考えています。さらに、自分の教室で行っているレッスンがなぜベストなのかを、保護者の方に説明できるかどうかも大切です。
もし、「一応英会話教室に通わせているけど、実際授業で何をしているのかは分からない」「子どもが楽しそうにやっているから、まあいいや」などと保護者の方に思われているのならば、それは教室や講師サイドの責任です。お子さまが関心を持つかどうかは別として、日々のレッスンでどのようなことをしているだけではなく、”なぜ”そのようなことをしたのかを、講師が保護者の方にお伝えすることは非常に重要なのです。
例えば、
×「今日は、フラッシュカードで英語のかるたをしました。みんなすごく楽しんでいました。」
→これはただの報告でしかなく、かるたが子どもたちの英語の成長にどのように寄与したのかが、保護者の方には全く伝わりません。
〇「今日は、フラッシュカードで英語のかるたをしました。それぞれのカードに動物が大きく表示されており、下には英字で動物の名前が書かれています。アルファベットの練習はまだ始めていないですが、英字を見ることで、無意識のうちに英字が少しずつ異質なものではなくなっていきます。来年の4月から本格的にアルファベットの練習を始めますが、事前にアルファベットに触れていることは、文字学習の効率と習得速度を大きく促進します。」
→かるたをすることで、まだ練習していないアルファベットに子どもたちが触れることになり、それが結果として英語の成長に繋がることが伝わります。
実際のゲームでは「I see a bird.」や「I eat lunch.」などから始まり、10分間で30回以上のSVO構文を聞くことになります。学校で文法を学ぶ前に、正しい文法の英語に大量に触れておくことで、実際に学び始めたとき、文法が非常に分かりやすく感じるようになるのです。
このような簡単な英文をレッスンの自然な流れの中で500回、1000回…と聞いていくうちに、「自分のことについて話すときは”I”から始まるんだ」ということが感覚的に分かってきます。主語・動詞・目的語などの文法用語を使った学校の授業は、お子さまが既に感覚的に知っていることを言語化・体系化しているだけの状態になるのです。そのため、子どもたちは文法の授業を苦とは思わず、逆に「あ!それ知ってる!」といった気づきが多くなります。